7月は賃貸業務に於いてはかなり苦戦を強いられる月次である。人の動きや引越しシーズンの終了、単身引越し願望の低迷が主な原因である。札幌においては特に夏季ボーナスの減額や賃金体系の再構築が行われ、所得に大きな影響を落としている。また、単身者,学生などの引越し控えが多くなり考えていたとしても自分の中で考えている理想とかけ離れている場合は悩むことなく引越しを見送るお客様が多い。これに加えお客様の要望の中には全く見当違いな要望があり、これを説明し妥協させることも難しくなってきている。これは
高度の発達した情報化社会と供給過剰になった札幌の賃貸物件が相乗し悪影響を出しているものと思われる。現在の賃貸物件は供給過剰の状態にあり、その反面需要は現在の経済状況を反映し年々低下している。これはイギリスの経済学者アダムスミスが提唱した「神の見えざる手」の理論に反している。この神の見えざる手は需要と供給のバランスを図る指標であり、均等価格下において需要が供給量超え増加すれば価格は上昇し供給もおのずと増加するし、供給が現在ある需要を越え過剰に市場に出回れば価格が減退し在庫が増え景気を硬化させてしまう。これは二次関数式の曲線によってあらわされ、現在も経済界では基本とされている。この基本に当てはめてみると現在の札幌の賃貸供給数は歪な供給曲線を示しと需要曲線と比較した均衡価格は供給数の割には高位置にあるといえる。
このことから、現在の賃貸物件は、十分供給はあるが新築物件などのプライスリーダーに引っ張られ賃貸価格が上昇した状況にあると思う。これが適正な均衡価格になるには物件賃貸価格の的確な把握が必要であり、かつ情報化社会を利用した正確な情報提供が必要ではないだろうか。
今後経済状況が上向く要因がない現在、供給量を越した物件を成約していくには的確な情報提供及び入手、借り手の要望に沿える物件把握能力と妥協する際の限界点を見抜く能力を身に付ける必要があると私は考える。
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