マンション管理士制度が創設されて以来3年になります。鳴り物入りで誕生したマンシン管理士たちの実態はどうなのかを調べてみました。
各地でマンション管理士会を立ち上げ、活発な活動を展開しているということを見聞 きしますが、専門職能としての確立には至っていないというのが実感としてあります。
日本マンション学会管理士研究委員会で行った調査によると、マンション管理士全体 の96%が男性、年齢構成は50代が35%と最も多く、次に40代が25%、60代
21%、30代13%と続きます。都道府県別の構成は東京都が全体の20%、大阪 府13%、神奈川県11%、埼玉県と兵庫県がともに8%、千葉県7%、愛知県5
%、北海道と福岡県がともに4%となっています。職業別でみると、会社員35%が最も多く、次いで会社役員が24%、自営業(個人
事業主)が20%で、これら3つで全体の約8割を締め、業種で見ると不動産業32 %、マンション管理業15%で、以下は法律・法務関係、建設業、設計監理業がそれ
ぞれ7〜8%となっています。
また、マンション管理士以外に保有している資格につ いては宅地建物取引主任者が約8割、管理業務主任者が約7割と非常に高い割合となっ
ており、次に多い建築士16%、行政書士13%と比べ大きな差が見られます。 自分にあてはめてみると、職業別、業種、保有資格という点では構成比の上位分布の中
にいることがわかりました。
資格の認知度は高くないと日頃より思っていましたが、やはり調査結果でも管理関係内では認知されているが67%、まったく認知されていないが23%となっています。
実際の業務形態については、管理会社で仕事をしているという回答が約4割、特定の業務について契約し顧問業務をしているが約2割、地方公共団体等の相談員、アドバ
イザーとして仕事をしているが14%程度となっています。 実際の業務に関しては、身近にも管理士間で見解に食い違いがあったり、管理組合の
運営上、管理士の存在が認識されない場面も多数見受けられるのが現状です。
調査結果でも、社会のみならず、管理士自身にも管理士の職業像が見えていないのではないかと、記されています。特にマンション管理適正化法にいう助言、指導その他
の援助とは具体的にどこまでを指すのかという理解に混乱が見られるとのことです。 また、法における管理士業務の定義の曖昧さがあげられ、各管理士個人のバックグラ
ウンドや目的意識が異なることは問題ではないが、業として何らかの業務標準は必要 であり、一部の管理士会では業務標準をつくる動きも出ているようです。
法の見直しを検討する動きもあるようで、例えば新規分譲マンションの初期管理組合成立には管理士が立会い、分譲業者から組合に引渡されたことを見届け、組合設立を確認して規約もここで成立させることを担保すれば設立が確実になるといった考え方です。
新築だけではなく、マンションストックについても最近はリノベーション、コンバー ジョンといった分野が注目されていますので、管理士としての職能を確立するチャン
スはあると思います。 マンションには多様な問題があるので、他の専門家との連携も含めてレベルの高い管
理士を目指していきたいと思っています。