今日本、そして世界は深刻な金融危機に直面している。
その理由としては、サブプライム関連の金融商品を大量に保有していた世界中の金融機関や個人投資家達が、またたく間に不良債権を抱えてしまったのが直接的な理由と言われている。
経済の観点から見るとおそらくそれは正しいのであろうが、その「根底」には様々な問題があると思われる。
現在インターネットの普及によって我々は、欲する情報を簡単に手に入れる事ができる。
またその情報は、我々を満足させるのに充分な量である。
そのおかげで我々の生活は非常に快適になった事は明確な事実である。
しかし、そのプラスの産物だけではなく、マイナスの側面があるのではないだろうか。
インターネットが無かった時代、何か必要な情報を得ようとする時、どうしていただろうか。
大体は図書館や本屋に行ったり、周りの人に聞いたりしたはずである。
それは24時間いつでも出来ることでは無く、またその情報量も決して多いわけではない。
その為、情報を得るための手段を考え、情報を記憶し、その情報を展開する為に理解をしなければならなかった。
つまり一つの情報について、様々な思考をめぐらせていたのではなかろうか。
それに対しインターネットから得る情報はどうであろうか。
膨大な情報から目の前に用意されており、そこから「選択する作業」によって簡単に情報を得ることができ、引用することができる。
それがいつしか「考える」事を奪っていったのではないか。
もし用意された情報が間違っていた場合、それは深刻な問題となって現れる。
今回の金融危機も、考えることをやめた投資家たちが、インターネット上の情報を安易に選択して、大きな失敗をした事によるものではないだろうか。
時が流れるとともに、我々の生活の快適さは向上していく。
しかしながら、それにより失いつつあるものを把握しなければ、大きな失敗を繰り返す事になるであろう。
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