何か物を購入しようとするとき、人は大抵、その物を売っているところへ行き、品定めを行い、対価を払い、物を購入する。この流れはほぼ同じであり、パンを買うのも、車を買うのも同じ流れである。私も4年前に車を購入した時もそうだったし、昼に御飯を購入した時もまったく同じような流れである。しかし、今不動産取引において、この流れでは情報の伝達が遅く、波に乗り切れなくなってきている。高度情報化社会のもと、従来の紙の媒体を郵送でやりとりするということは減少し、パソコンを開いて検索し、条件に合うものを幅広く、かつ、リーズナブルに手に入れることができるためである。以前はチラシや新聞などの広告を主体とし、情報を顧客に伝達させるには少なくとも数日の時間が必要であった。それに対し現在のネット広告においては必要な情報と数枚の写真、図面などを画面上で操作すればすぐに登録が出来る。これにより、「広告を出す→客が見る」ということが紙と媒体の時と比べて時間が短縮されているため条件が一致すれば複数の供給情報を提供しても充分捌き切れる可能性もあるのである。
しかし、この高度情報化が全てのものに恩恵を与えるわけではない。広く情報が手に入るため、必要ではない情報や間違った情報も手に入るためである。また、それを利用して不正を働くことや錯誤を誘引することもあるかもしれない。実際ある例としては、ネットに乗っている不動産価格と実際の価格が大きく異なるなどである。また、実際は扱っていない物件、かつ、通常から判断すると明らかに割安であるといった囮広告なども見受けられる。多くの情報を入手できる反面、入手した情報を精査し必要なのかどうか、正しい情報なのかどうかを調査・判断していく必要があるということを知っておく必要がある。
また、情報の中の隠れた瑕疵についても売るほうが情報提供するのは当然のことであるが、買うほうにおいても過去の事案や説明しなければならないこと以外に何かなかったかなど確認する姿勢も必要である。多くの商品や情報を享受できるのと共に、きちんとした情報をもった会社や担当者を買う側が指名していく、選択していくということも必要になってくると思う。
不動産は全てが決して安い買いものではない。買う際には判断材料としての多くの情報と確認が必要となる。自分で調べて検索することも必要であるが、必ず専門家の意見を聞くことや実際に自分の目で確認したり、調査することも必要である。購入者と仲介者はある意味「パートナー」となる。商品を選ぶ前にその「パートナー」を選び、より良い物を選択することでいい買い物ができるのである。そして、「パートナー」として選ばれるためにも仲介者は詳しい情報や専門知識、そして強い信頼が必要になる。特に不動産を扱う者は通常のものより、より深い情報と知識が求められていることを常に知っておく必要があると思う。
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