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第22の鉄人   東北地方在住 瀬谷潤
     

「老後の収入を考える 〜家賃収入は不労所得?」






 若い頃にはまったくといっていいほど考えもしなかったのに歳を重ねてくると何となく考え始めてしまうのが自身の老後のことではないでしょうか。
老後に対し深刻に考えている人もいれば割と楽観的に考えている人もいるでしょう。又一時期話題になった「二千万円問題」は若い人にも自身の老後を考える大きなきっかけになったと思います。そこで今回は収入という側面から老後について考えてみたいと思います。



 老後の収入といえば誰もが思い浮かぶのが年金でしょう。「老後を支える基盤となる収入」。年金をこう表現しても否定派は少数かと思います。
年金では特に国民年金の未納率が高い事がよく問題になりますがこれは数字のマジックで国民年金だけの自営業者等に未納率が高いだけで、厚生年金に加入している2号被保険者やその配偶者の3号被保険者等も含めれば成人した国民のほとんどが基礎年金である国民年金に加入しているということになるそうです。
年金の保険料を支払うことの大切さを痛感したのは自分の母親が年金を受け取るようになってからです。又年金の保険料を支払ってさえいれば万一障害を負ったとき年齢に関わらず障害者年金を受け取ることもできるからです。
でも年金だけでは老後を支えられない人も多数いる、という現実もあります。年金は二階建てで現役の時自営業だったのか給与所得者だったのか等によって受け取れる金額には大きな開きがあるからです。
一階部分はすべての国民が加入する国民年金。二階部分はサラリーマンなど給与所得者が加入する厚生年金。給与所得者など国民年金の2号被保険者は国民年金と厚生年金とダブルで加入することになり当然年金の受給額は増えることになるのですが問題は一階部分の国民年金だけの1号被保険者である自営業者などです。1号被保険者の平均年金受給額は月額5万5千円程度だと聞いたことがあります。この数字だけを見ても国民年金だけにしか加入していなかった自営業の方は年金受給開始と同時に廃業することはなかなか厳しいと思います。



 もうひとつ老後の収入として思い浮かぶのが「働く」ということでしょう。
定年後も同じ職場に残れる恵まれた方もいるでしょうし新たな職場にパートとして、又シルバー人材センター等を通して働くという選択肢もあるでしょう。でも60歳を過ぎてから新たな職場で、しかも経験したことのない職種の仕事を始めるというのがいかに厳しいことであるかは実はぼく自身が体験しています。
60歳を過ぎた頃、まったく経験のない新たな職種、新たな職場でパートとして働き始めたのですが慣れぬ仕事に失敗ばかりで結局数か月で辞めてしまいました。すみません。「辞めてしまった」はかっこつけ過ぎです。事実上の解雇でした。
現在は若い頃から慣れ親しんだ職業に戻り働いていますが、やはり積み重ねた経験を活かせる慣れ親しんだ仕事というものには安心感があります。この経験からある程度の年齢になったら未経験の職業に挑戦しようなどという無謀な考えは捨てて仕事は慣れ親しんだ職種の中から選んだ方が無難かなと感じています。



 老後の収入として最後に思い浮かぶものとして投資があると思います。老後は投資で得た資金で悠々自適に暮らしたいと投資に対し漠然とした憧れを抱いている方も少なくないと思います。しかし老後からの投資には若い頃からとは異なるいくつかの危険な要素が含まれていることもまた事実です。
投資をするには当然ながら手持ち資金が必要です。ところがこの資金に関しては案外用意できるという高齢者が少なくありません。「資金はある。だから投資をしてみよう」いやいやそんな安直な気持ちで上手くいくほど投資は甘くはありません。投資をしたすべての人が手を取り合い共に豊かになれる、なんて仲良しクラブみたいなことは投資の世界ではあり得ません。冷静に考えてみてください。「誰かが儲けている、ということはその裏で必ず誰かが損をしている」弱肉強食である投資の世界では必ずこの鉄の法則が支配しています。自身に問いてみてください。投資の世界で自分は必ず儲ける側にいる、と言い切れる自信はおありでしょうか。ぼくは投資の世界で儲ける側に入る自信はまったくありません。
若い頃からまったく投資の経験がないまま資金だけはあるからと高齢になって始める方が忘れている、というか気が付かない投資の一面があります。
ひとつは時間を味方にすることが若い人に比べ年齢的に不利になる、という点です。投資はある意味育てる物ですからどうしても時間が必要になります。長い目で見ろ、とは時間をかけて取り組めという意味になりますが高齢になればなるほど長期スパンで投資に取り組むという手法が難しくなってきてしまいます。
もうひとつはやはり経験がないこと。経験がないとは知恵も知識も自身で確立し実践してきたノウハウもないということでこれだけは如何ともしがたい。だったら勉強して挑戦すれば良いのではないか、という意見もあるでしょうがここにも年齢が立ちはだかります。若い頃のようには吸収できない。口惜しいけれどこれもまた現実です。



ぼくは若い頃から投資といえば毎月の家賃収入が得られる不動産投資がメインで株はごくわずかでした。
家賃収入を「不労所得」と捉えている方も少なくないと思います。不労の労の字は労働の労という意味なのでしょうが苦労の労という意味も含んでいると思います。そう考えると不労所得とは労働も苦労もない所得、ということになるのでしょうか。
確かに不動産賃貸業という事業を実践するにあたり特別な労働というものはありません。でもそれは毎月の家賃の回収や遅滞があれば催促や入退去の際の立ち合いや入居者募集等の様々な賃貸管理業務や物件の保守・清掃・点検等に携わる管理会社等本当に多くの人たちの労苦に支えられているからこそ結果、賃貸業を実践するオーナーに直接の労働というものがないだけの話だということを忘れてはいけないと思うのです。
家賃収入は労働も苦労もない所得なんかではありません。多くの方々の労働と苦労に支えられた所得なんです。
たとえどんなに小さなワンルームでも、それがたった一室でも、その物件を人に貸し毎月家賃をいただくようになればその家賃収入がいかに少額であったとしてもそれは紛れもない事業でありそのワンルームマンションのオーナーは経営者ということになります。経営者たるもの毎月家賃が振り込まれてくる通帳を眺めて「これぞ不労所得」などと驕ってはいけないと思います。経営者だからこそ多くの方が携わってくれているおかげでこの家賃がある、という謙虚に感謝する気持ちこそが大切なのではないかと思います。

この駒があったらいいのに、と考えていては将棋を指すことはできません。自身の持ち駒を精一杯活かしながら指すのが将棋であるように、老後ももう少し年金が多かったら、とかもう少し収入向けの不動産があったら、とか自身の持ち駒の少なさを嘆いていても仕方ありません。自身で築いて手に入れた持ち駒をどのように活かしていくのか。
ぼく自身年金受給を数か月後に控えた今、若い頃から慣れ親しみ自身のノウハウを確立してきたそれら持ち駒をいかに活かしていくのかを考えることが老後を考えることに繋がるのではないか、と感じています。

毎月確実な家賃収入が得られる不動産投資は本当にありがたく又やりがいのある事業でもあります。今回のテーマであるこれから訪れるであろう老後を暮らしていく上でも今所有している物件が経済的にも精神的にも支えになってくれる貴重な持ち駒であり続けてくれることと信じています。
  

【Youtubeによるセミナービデオのご案内】
Youtubeにてぼくのセミナービデオを公開しています。
4件の物件を競売にかけられ多額の債務が残ったにも関わらず自己破産をすることなく今も不動産投資を、しかも無借金で実践している、というぼくの実体験から経験した事を中心に二部構成でお話させていただいております。
売却後の残債務の存在を認め、今後の支払いを約した上で売却する任意売却。
売却後の残債務の存在を認めず、今後の支払いも債権者との接触も一切拒絶したまま裁判所にて強制的に売却される強制売却。つまり競売。
このふたつの売却手段にはどのような違いがあるのかを具体的にお話しています。
あくまでも失敗した体験談ですから明るい内容のセミナーではありませんし話の性質 上どうしても法律用語が多く登場しますがそこの処はできるだけ分かりやすく又余り 深刻にならないようにお話することを心掛けました。 是非ご覧になってください。


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